ピアノ線

暗闇
一本のピアノ線に人形がつらっれている
ぼろきれのように
昔は美しかった純白のドレスも
黒ずんで
髪の毛もながいあいだ、すいてないようだ
涙を流すだけ流した目は
うつろに見開かれていて
ピアノ線の一端が伸びている
深い奈落の底を見下ろしている
ピアノ線のもう一端は
あの人への思いにつながっている
ピンと張られたピアノ線は
さびついて
いまにもちぎれそうだ
人形のからだにくいこんで
手足はばらばらにばりそうだ
もう、せいいっぱい愛したではないか
どこまでやればゆるされるのか
奈落の底に沈んでいきたい